舌痛症 Burning Mouth Syndrome

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 「舌が熱い」「舌がヒリヒリする」「舌がジンジンする」と訴える舌痛症は、あまり知られていませんが、このような症状に悩む人は多いのではないかと思います。舌痛症は病名ではなく、その状態を表した呼び方です(お腹が痛かったら腹痛と言うのと同じです)。
 舌の痛みは、擦り傷、腫瘍、感染症などで起こることがありますが、病院で検査を受けても、病気ではないが原因が特定できない、というときは「機能性の問題」が考えられます。 ここでいう機能性の問題とは、身体の調子が優れず、なんとなく神経の伝達が上手くいっていない状態のことを指します。
 カイロプラクティックは、神経伝達を妨げている脊椎分節を調整して、神経の伝達を改善させることを目的にしたヘルスケアです。病院で診てもらっても、原因の分からない舌の痛みにカイロプラクティックのケアは助けになることがあります。


症例:数年間続く舌と口蓋の痛み

【臨床的特徴】

 40代の女性が9年前より始まった舌と口蓋のジンジンした痛み、頭のムズムズ感を訴えている。症状はいずれも左半分だけに起こり、起床時には痛みはあまり感じないが、一日の終わりに近づくにつれてだんだんとひどくなってゆく。
 以前、口の中にアルミ箔を噛んだときのような不快感が起こることもあったが、銀歯を取り除くことで改善している。
しばしば口腔が乾くように感じることもあるが、医療機関ではシェ―グレン症候群の可能性は低いのではないかといわれている。
その他、頭部の画像検査、口腔粘膜試験などで異常はなかった。

【介入と結果】

 脳神経検査では異常は見られなかった。頚椎の可動域は正常範囲内であり、頚部の運動により症状の増悪、軽減は確認されなかった。押圧による脊柱の柔軟性は全体的に不足しているように感じられた。そのうち上部胸椎ではその柔軟性の不足は顕著であった。
  施術は上部胸椎と頚部軟部組織への操作が行われた。 二回目の来院より舌の痛みはその範囲が小さくなり、口蓋の痛みと頭のムズムズ感は消失した。

【考察】

 

このような、原因の特定できない慢性的な舌の痛みはBurning mouth syndromeとして知られており、日本では舌痛症と呼ばれることもあります。 男性よりも女性に多く見られ、内分泌障害やアレルギー、栄養障害、ホルモンバランスの変化、うつや不安障害、感染症、舌そのものの損傷など、さまざまな健康面での問題を背景に発症することが知られています。(Mayo clinicウェブサイトより)

 

上部胸椎からの自律神経は口腔の唾液分泌や、頭蓋内へ向かう血流を調節するはたらきがあります。 そして、筋肉や関節からの体性感覚入力が、自律神経のはたらきに影響することは体性自律神経反射として知られています。
 この症例で改善傾向が見られたのは、脊柱関節可動域が改善することで、正常な体性感覚入力が促され自律神経系に影響したためではないかと考えます。 加えて、頚部からの体性感覚入力が、舌からの痛みの信号を伝える三叉神経頚髄路核に影響したことも考えられます。

 舌痛症 Burning Mouth Syndromeは病名ではなく、そのコンディションを表した呼称です。一次性の舌痛症Burning Mouth Syndromeは原因が特定できないため治療が困難といわれています。
  Mayo clinicウェブサイトでは、タバコやオレンジジュースなどの酸性の飲料、スパイシーな食べ物など刺激物を避けることや、ストレスをためないために適度にリラックスするなどの日常生活の工夫を提案しています。特に精神的なストレスは舌痛症Burning Mouth Syndromeに限らず、現代の様々な病気の背景にあると言われています。 カイロプラクティックもリラクゼーション効果が期待できますが、それに限らず、色々なリラックスの仕方を工夫してみるのも良いかもしれません。